湿度の高い日本の夏、蒸し暑いとどうしても大量の汗をかきます。
特に満員電車の中などは、いくら冷房がかかっていても汗が流れてきてしまいますね。
そんな汗をかく日が続いて、ふと気がつくと首の後ろやお尻などにチクチクした痛みや痒みを感じます。
見てみると赤い斑点が。
そう、「あせも」です。
夏場になると、小さいお子さんなどは必ずと言っていいほど「あせも」に悩まされます。
私も汗っかきなので、首の後ろなどによく「あせも」ができて痒みどめ軟膏を塗っています。
で、この「あせも」、「あせ」は「汗」で間違い無いと思うのですが、では「も」ってなんのことだかわかりますか?
「も」なんていう言葉は「藻」ぐらいしか思いつきません。
いったいこの「も」、何を意味しているのでしょう。
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まずは「あせも」の正体から。
「あせも」を漢字で書くと「汗疹」。
正式名称は「汗疹性湿疹」(カンシンセイシッシン)。
そもそもの原因は、たくさんの汗をかくことによって汗腺が汗自体や老廃物などでつまり、汗が出なくなって皮膚内に溜まってしまい水疱を起こしてしまうというものです。
その汗疹性湿疹にはいくつか種類があって、皮膚の表面に近い角質層の汗腺がつまってしまってできたものを「水晶様汗疹」(すいしょうようかんしん)、それが角質層よりも深い部分の皮膚で起こると「紅色汗疹」(こうしょくかんしん)と呼ばれています。
前者は赤くはならず痒みもないそうですが、後者は赤くなったり盛り上がったりして痒みを伴うことが多い様です。
一般的に「あせもができた」という状態は後者の方のことが多い様ですね。
では、「汗疹」の正しい読み方は?
気がついた方も多いと思いますが、「あせも」を漢字変換すると「汗疹」とでてくるものの、二種類の「あせも」の名前を見てみると、どうやら正式な呼び方は「カンシン」のようです。
その「汗疹」(カンシン)を辞書で調べてみると「一般的にあせもと呼ばれるもの」という一文があります。
なるほど、実は「あせも」というのは正式には「汗疹」(かんしん)で、「あせも」というのは一般的な呼称だったのです。
「かんしん」というより、「あせも」の方が一般的なので「汗疹」と書いて「アセモ」と読むようになったのですね。
しかし、「あせも」の正体やその正式名称などはわかりましたが、なぜ「も」、という疑問はまだ何も解決していません。
ちなみに「汗疹」に使われている「疹」という漢字ですが、意味は「皮膚にできる吹き出物」とあるので、「汗疹」は「汗によって皮膚にできる吹き出物」という意味合いはまちがいありませんが、その読み方は「シン」だけで「モ」という読み方はないのです
ますますわからなくなりました。
実はあの「天然痘」が関係していたのかもしれません。
紀元前から人類を恐れさせた伝染病のひとつに「天然痘」があります。
伝染力が強く、かかると死亡する可能性が高い怖い病気です。
1796年にエドワード・ジェンナーが発見したワクチンが1864年に発表され世界中に広まっていき、天然痘は絶滅。
日本でも1955年には絶滅したのです。
60歳以上の方はご存知かと思いますが、そのワクチンは種痘(しゅとう)とか疱瘡(ほうそう)と呼ばれていて、上腕の上の方に跡が残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
で、この天然痘ですが、古くは「いもがさ」とか「もがさ」と呼ばれていて、天然痘によってできた「あばた」のことを「いもがさ」、「いも」と呼んでいたそうです。
そこから、あせものことを「汗でできたあばた」という意味合いで「あせもがさ」、「あせいも」などと呼んだことが「あせも」の始まりなのではないかという説があります。
また、別な説としては、あせもは「あせぼ」とも呼ばれることもあり、その「あせぼ」という呼び方は「汗疣」(あせいぼ)が変化したものと言われています。
この「あせいぼ」が「あせも」の語源にもなっているというものもあります。
私はこれかと思っていました。
他にも、「汗物」(あせもの)とか、「汗生」(あせぶ)を語源とする説もあって、実ははっきりととした語源はわかっていないのです。
「あせも」は汗腺、「ニキビ」は毛穴。
「あせも」は汗などで汗腺を詰まらせてしまうことが原因ですが、同じ様な原因で起きるのが「ニキビ」です。
「あせも」が汗腺だったのに対し、「ニキビ」の原因は分泌される皮脂などが毛穴を詰まらせてしまうこと。
両方とも「本来なら皮膚の表面に出すための穴を詰まらせてしまう」というのが原因で起こる皮膚疾患です。
なので、そういった穴がふさがらないように、汗をかいたらしっかり拭いたり、お風呂やシャワーなどでよく洗って皮膚を清潔に保ったりするというのが「あせも」や「ニキビ」を防ぐ方法なのです。
ちなみに、この「ニキビ」ですが、こちらもなぜ「ニキビ」と呼ぶのかはっきりとはわかっていないそうです。
「あせも」も「ニキビ」も普段からよく使っている言葉なのに、なんでそういう名前になったのかわからないというのも面白いですね。
そういえば、私としては、なぜ腫れ物やできものにわざわざ丁寧語の「御」をつけて「おでき」と呼ぶのかも不思議でしょうがありません。
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