LifeStyleライター

役立つ生活の知恵を発信しています。

カエデとモミジの違い、なんで紅葉狩りだけ「狩り」なのか、知っていますか?

calendar

世の中には同じように見えるのだけれど、名前が違っているものがたくさんあります。

中には虫や鳥の種類のように、わずかな違いで細かく名付けられているものもありますが、総称すると大体一緒の呼び名になっています。

たとえば私の好きなクワガタムシも、オオクワガタだのミヤマクワガタといった種類はありますが、総称すればクワガタムシ。

インコだって、セキセイインコもいれば、オカメインコ、ボタンインコもいるけどインコ。

同じように見えるものはひとくくりにして同じ呼び名で呼ばれているわけです。

ただ、細かい種類には分けられているものの、同じように見えても違う名前で呼ばれているものがあります。

カエデとモミジ。

同じだと思いませんか?

童謡の歌詞の中にはカエデとモミジの両方が出てくるものさえあるのです。

では、この一見同じに見えるカエデとモミジ、どこか違っているのでしょうか?

スポンサーリンク

カエデとモミジ、実は同じもの?

カエデとモミジ、植物分類学上はどうなっているのかといえば、両方ともカエデ科カエデ属に属する植物です。

実際に「モミジ属」という植物分類はありません。

ということは同じもの?

では、なぜ呼び名が違うのか。

そもそもカエデというのは、その葉の形がカエルの手に似ているというところから「かへるて」と呼ばれていたもの。

それが、「かへて」、「かへで」、「かえで」に変化したものです。

木偏に風、という「楓」の字も、実は昔は「かつら」という別の植物を指していたようです。

それが平安時代に中国の「楓」(ふう)という植物に似ているというところから、「楓」はカエデを示す漢字として使われるようになったと言われています。

一方、モミジの語源は「秋になって草木の葉の色が赤や黄色に変わること」を意味する「もみつ」から。

漢字で書くと「紅葉つ」とか「黄葉つ」。

それが名詞になって「もみち」に、平安時代には「もみぢ」に、そこから「もみじ」になったそうです。

そんなモミジを漢字で書くと「紅葉」。

秋になって木々の葉が色づくことを指す「紅葉」(こうよう)と同じ字ですね。

これは山のモミジがひときわ紅く色づいていたことから、この漢字が使われたと言われています。

では、なぜ同じ植物分類のカエデとモミジは、呼び方が分かれてしまったのでしょう。

実は、カエデにとモミジには小さくて大きな違いがありました。

カエデとモミジ、植物分類学上では同じものですが、実は園芸や盆栽の世界では、そこそこ大きな違いを持たせています。

それによると、カエデの中でも葉が小さく、深い切れ込みが5〜6(切れ込みで分けられた葉の数は6〜7枚)つで、秋に紅く紅葉するものだけをモミジと呼んでいるそうです。

それに対して、葉が大きく、浅い切れ込みが7つ以上あって、紅葉しないものがカエデです。

つまり、秋に紅くなるカエデだけを特別にモミジと呼んでいるのです。

「紅葉」書いて「もみじ」と読む意味がわかりますね。

それに、赤ちゃんの小さな可愛い手を指して「モミジのような手」と表現することがよくあります。

これも小さくて、葉の深い切れ込みが人の手を連想させるモミジならではの表現です。

「カエデのような手」とは言いませんものね。

紅葉狩り、なんで紅葉だけ「狩り」だかわかりますか?

お花見や菊見など、花を見に行くことは「見る」という字を使いますが、紅葉を見に行くときにだけ「狩る」という字を使います。

そもそも「狩る」というのは、動物などを狩る「狩猟」のイメージの言葉です。

なぜ、紅葉だけ「狩る」のでしょうか。

まず、「紅葉狩り」は「もみじがり」と読みますが、紅葉だけではなく、赤や黄色に色づいた他の木々を見て楽しむもの。

前に述べましたが、色づいた木々の中でひときわ紅く色づくモミジに「紅葉」という漢字を当てたように、紅葉(こうよう)する木々の代表として「紅葉」(こうよう)を「もみじ」と読ませているというわけです。

で、そんな紅葉狩り、この「狩る」というのはイメージの通りに動物などを捕まえていたことが始まりです。

よく見れば、けものへんの漢字です。

それが、狩猟ではなく木の実や果実を採ることにも「狩り」という言葉が使われるようになり、ひいては貴族などが花や木々を鑑賞しながら歩くことにも使われたそうです。

それが「紅葉狩り」の始まりです。

実際、万葉集には「紅葉狩り」という言葉が出てきています。

古語などでは「狩り」というのは「捕ったり、鑑賞したりすること」という意味で使われ、春のお花見のことを「桜狩り」と表現していたこともあったようです。

また、少し違う説では、昔の貴族の楽しみ方として花や木々を見て楽しむだけではなく、実際に花を摘んで手に乗せたり、髪に飾ったりして香りや見た目を楽しんだ、とも言われていて、それが実際に花を摘む、枝を折るといった「狩る」という言葉に繋がったともされています。

いまは、絶対に花を摘んだり、枝を折ったりしてはいけませんけど。

ちなみに、歌舞伎に「紅葉狩」という紅葉という鬼女討伐の伝説物語を描いた演目がありますが、紅葉を楽しむ「紅葉狩り」と関係があるのかは定かではありません。

モミジとカエデと紅葉、深く繋がっているのです。

モミジとカエデは同じ分類で、植物分類上モミジという植物は存在しない、というのにはびっくりしました。

ただ、小さくて、紅くなるモミジを特別なものとして扱った風情を重んじる昔の人の気持ちから生まれた呼び名なのです。

山の紅葉(こうよう)の字をモミジに当て、紅葉(こうよう)を見に行くことをあえて「もみじがり」と呼んだというのも、日本の風流を感じさせてくれますね。

 

この記事をシェアする

コメント

コメントはありません。

コメントを残す