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ざるそばともりそば、違うのは海苔がのっているところだけ?

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夏が近づいてくると、あちらこちらのお店で「冷やし中華始めました」の張り紙が見られるようになります。

本当は一年中食べたいというファンの方も多いと思いますが、やはり冷やし中華は暑い時期に似合う食べ物ののひとつと言えます。

そんな夏場に登場する季節ものといった風情の冷やし中華に対して、一年中食べられる冷たい麺といえばざるそばともりそば。

たしかに「ざるそば始めました」などという張り紙を目にすることはありません。

で、このざるそばともりそば、冷たいおそばを冷たいつけ汁につけて食べるというスタイルは全く同じ。

何が違うかというとそのお値段。

普通、値段はざるそばの方が少し高く設定されています。

「そりゃ当然だろう。だってざるそばには海苔がのっているから」という方もいらっしゃると思いますが、実はそれだけではないのです。

私も大好きなざるそばともりそば、どんなところが違うのか、ちょっと知りたくありませんか?

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冷たいおそばのルーツはもりそばなのです。

そもそも、蕎麦というのは縄文時代から食べられてきたもので、最初は蕎麦の実をそのまま炊いたりおかゆにしたりして食べられていたもの。

それが、実を挽いて粉にし、それを練って茹でて食べるという方式が一般的になったのです。

それが「そばがき」。

私も大好きな食べ物で、現代ではあまり見ることができない粋な食べ方だと思います。

そんな昔のそばスタイルを一新させたのが、薄く伸ばした生地を細く切った「そば切り」の登場です。

つまり現代の「そば」のスタイルですね。

そのルーツは不詳で、17世紀の甲州か信州で考案され江戸に伝わったという説や、江戸で誕生したという説があります。

当時、江戸に伝わったそば切りの一般的な食べ方は、器に盛った茹でたての蕎麦を味噌味のつけ汁をつけて食べる、そのまま「そば切り」と呼ばれていたもの。

これが、ただの普通の器に盛られていたということから「もりそば」と名前を変えていったのです。

ちなみに、このつけ汁につけて食べるというのが面倒臭い、という気の短い江戸っ子が、器に盛られたそばに直接汁をかけて食べる「ぶっかけそば」を考案。

それが「かけそば」のルーツです。

つまり、もりそばの「もり」は「盛り」、かけそばの「かけ」は「(ぶっ)かけ」だったのです。

ではざるそばはいつ誕生したの?

この江戸時代初期に一般的であった味噌味のつけ汁は、その後醤油が誕生して醤油味のものへと変わっていきます。

そんな中、登場するのが「ざるそば」。

考案したのは、深川の伊勢屋という蕎麦屋といわれています。

伊勢屋は蕎麦の実の中心に近い白い部分を使って白いそばを打ち、それを竹のざるに盛って「ざるそば」として供したのです。

それが話題となり、この竹のざるに盛って出す「ざるそば」が江戸全体に広がっていきました。

ただ、もりそばとの違いはその「ざるに盛る」というところだけ。

現代ではあたりまえとなっている、海苔がのったスタイルではありませんでした。

その違いが明確になるのはもう少し後のこと。

いつの間にかざるそばはもりそばより「高級」というイメージがつけられ、明らかな差がつけられるようになったのです。

まずはその蕎麦粉。

ざるそばにはもりそばより高級な蕎麦粉が使われました。

つけ汁も、ざるそば用には本鰹節の一番出しに当時高級な調味料だったみりんを加えたものを、もりそばにはみりんは使わず雑節や鰹節の二番出汁のものを、とい差別化が行われたのです。

さらに、ざるそばにはネギや海苔、ワサビといった薬味までもつけられるようになりました。

今と比べると、その違いは歴然としたものだったのです。

その後、その差はだんだんと小さくなり、蕎麦粉もつけ汁も同じものが使われるようになり、結局盛られる器と、見分けるための海苔というのだけが残ったというわけなのです。

ただ、現代でも一部の老舗では今もざるそばともりそばで蕎麦粉や汁に違いを持たせているお店もあるようです。

もうひとつ、よく見かける冷たいお蕎麦がせいろ蕎麦ですね。

ざるそばやもりそばの他に、もう一つ目にするのが「せいろそば」というメニューです。

こちらもせいろに盛られた冷たい蕎麦をつけ汁につけて食べるという、ざるそばやもりそばと同じスタイルですが呼び名が違っています

なぜ「せいろ」なのか。

実は呼び名としてはこの呼び名が一番古く、前にも述べたように、江戸時代に「そば切り」が登場した時に、切った蕎麦をせいろに乗せて蒸し、「盛りせいろ」という名で暖かいままお客に供していたものが、「せいろそば」となったという説があります。

説がある、というのは、せいろそばの呼び名にはもうひとつの説があって、江戸時代に蕎麦屋が幕府に蕎麦の値上げを陳情した際、値上げ自体は許可されずに減量で対処せよとのお達しが降り、底上げしたせいろに量を減らして蕎麦を盛り「盛りせいろ」とした、とも言われているのです。

どちらにせよ、「せいろに盛る」というスタイルのものが「せいろそば」というわけなのですね。

ざるそばともりそばとせいろそば、いまではあまり変わりません。

食べ方も見た目も似通ったこの三種類の蕎麦ですが、そのルーツは様々なものです。

現代では海苔の乗ったものが「ざるそば」、何も乗っていないのが「もりそば」、なんとなくちょっと高級なイメージがあるのが「せいろそば」などと思ってしまいますが、それぞれその起源や由来は違っているのです。

ちなみに、現代でも一番一般的だと思われているざるそばの器、あの何枚か重なって出てくる器だと思っていませんか?

あれって、実は「ざる」ではなくて「せいろ」なのです。

蕎麦屋さんが出前する際に、ざるだと何枚も重ねられないので、ざるそばの器にせいろを使ったのが始まりのようです。

そういえば、以前は街中で見かけた蕎麦屋さんが何枚もせいろを重ねて自転車で出前をしている姿、最近はめっきり見かけませんね。

 

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