LifeStyleライター

役立つ生活の知恵を発信しています。

蛇口にはなぜ蛇という字が使われているの?

calendar

私たちの身の回りには普段何気なく接しているものでも、ちょっと考えると何故? なんで? というものがけっこう存在しています。

なんでこんな形になった、とか、なんでそういう名前になったの? とか、当たり前だったものにちょっとした疑問が湧いてきてしまうものです。

私が最近気になったのは水道の蛇口。

え? なんで? 蛇口でしょ? と思われる方もいらっしゃると思いますが、ちょっと考えてみてください。

蛇口ですよ、蛇の口。

人間が嫌うものの代表でもある蛇という名前を、何故毎日欠かさず接するものに使ったのか。

不思議だと思いませんか?

スポンサーリンク

蛇口の蛇は実はライオンが大元なのです。

蛇口といえば水道水の出口です。

日本で最初に水道が開設されたのは明治20年のこと。

それまでは生活用水に川の水を使ったり、井戸水を使ったりしていたのが、ちゃんと濾過した水が使えるようになりました。

まぁ、川から水を引いて、浄水場を完備させ、それを地下に埋めた水道管を通してと、それはそれは大変な作業だったと思います。

ここで、地中をうねうねと這う水道管が蛇の体、だから水の出る部分が蛇の口、すなわち蛇口なんじゃない? と、はたと気がついた方もいらっしゃると思います。

たしかに、細長い水道管を蛇の体に見立てれば、水の出口は蛇の口のように思えます。

納得できそうな説ではありますが、残念ながらそれは違います。

水道設備が完成した当時は、現代のように各家庭に水道が引かれているわけではなく、共用の水道栓が設置され各家庭が栓を開ける鍵を使って栓を開け利用するという方式でした。

ちょうど共用の井戸があって、そこに水を汲みに行くという昔ながらの景色そのものといった感じですね。

そして、その共用栓に使われたデザインがライオン。

何故ライオンか。

実は、水道設備や水栓はヨーロッパから日本に伝わったもの。

当時のヨーロッパではライオンが水の守護神とされ、水の出口に取り付けられていたのです。

それがそのまま日本に輸入され使われたというわけです。

今でも、その名残として温泉とか噴水、公園の水場などでもライオンの口から水が出ているのを見かけることがありますね。

私の祖父の家でも、サンルームにあった水場ではライオンの口から水が出ていました。

じゃあ、蛇口ではなく獅子口でよかったのでは、というご意見。

ごもっともです。

しかし、その後日本製の水栓が作られるようになり、デザインとして使用されたのは中国や日本で水神とされていた龍。

この龍が水の出口につけられました。

じゃあ龍口で・・・とお思いでしょうが、この日本製の共同水栓につけられたのが「蛇体鉄柱式共同栓」という呼び名。

実際には龍の飾りが付けられていたのですが、その大きさやデザインの簡素化などの理由から、龍ではなく蛇の字が使われた言われています。

やっと蛇の出番です。

それが、各家庭に専用栓がつけられ、「蛇体鉄柱式共同栓」は「蛇口」という名前に変わっていったのです。

つまり、蛇口の「蛇」は「蛇」ではなく、そもそもは「龍」だったのです。

では、外国ではなんて呼ばれているの? カランってなに?

日本では蛇口と呼ばれる水道水の出口ですが、中国では竜頭と呼ばれています。

竜頭といえば日本では腕時計のつまみといった意味ですが、中国では元来の意味である水神の龍を意味する呼び方なのです。

また、英語では「faucet」。

こちらは古いフランス語で「栓」を意味する単語、つまりワインやウイスキーなどの樽につけられた栓のことなのです。

わかりやすいですね。

それともうひとつ、オランダでは蛇口のことを「kraan」と言います。

発音は「クラーン」、「鶴」という意味です。

オランダではあの蛇口の形から「鶴の首」というイメージが生まれ、そう呼ばれるようになったのでしょう。

で、この「クラーン」という呼び名、どこかで聞いたことがありませんか?

温泉や銭湯などの洗い場についている蛇口のところ。

レバーやつまみがふたつ付いていて、ひとつは「シャワー」、もうひとつは「カラン」、そんな文字を見たことがあるでしょう。

その「カラン」はオランダ語の「クラーン」から来ているのです。

つまり「カラン」は「蛇口」というそのままの意味で、温泉やお風呂だけのなにか特別な呼び名ではないのです。

なぜ、お風呂にあるシャワーと一緒の蛇口だけを蛇口ではなくカランと呼ぶのか。

それは、最初にシャワーと蛇口の切り替え式の水栓を作ったのがオランダだったから。

シャワーはオランダ語で「douche」=「ドゥーシュ」と言って、おそらく日本に輸入された当初は「ドゥーシュ」と「クラーン」の切り替えだったのでしょうが、いつの間にか耳慣れない「ドゥーシュ」は、より馴染み深い「シャワー」という英語になり、かたや「蛇口」という日本語では釣り合いが悪いということで「クラーン」がそのまま残り、「カラン」となったのではないでしょうか。

お風呂の切り替え栓にだけ「カラン」という呼び名が使われるのは、そんな理由ではなかったのかと思います。

ひねるとジャーって何? というナゾナゾ。

ライオンだったり、龍だったり、鶴だったり、蛇だったり、蛇口には水神信仰やその形からなど、いろいろな呼び方があるのですね。

昔は蛇口を指して「ひねるとジャーってなに?」というナゾナゾがありましたが、最近ではレバー式とかプッシュ式の蛇口が多く、つまみをひねるタイプは少なくなったような気がします。

きっと「ひねるとジャーってなに?」ではなく「押すとジャーってなに?」というナゾナゾにしたほうが通じるのかもしれません。

あ、それだと「ポット」という答えになってしまうかも知れませんね。

この記事をシェアする

コメント

コメントはありません。

コメントを残す