秋の夜に美しい満月を眺め、ススキを飾り、お団子をお供えする。
十五夜のお月見というのは昔から日本にある習慣です。
では、この十五夜、いったいなぜ十五夜というのか、なぜススキなのか、なぜ団子なのか、ご存知ですか?
十五夜と言ったり、十五夜の月と言ったり、その表現は様々だし、そもそも十五夜の意味もはっきりしていませんね。
他にも十三夜だったり、十六夜だったり。
そんなお月見に関しての言葉、けっこう知らないことや勘違いが多いのです。
ちゃんと意味を知って、美しい満月を楽しみたいものです。
スポンサーリンク
実は十五夜は1年に12〜3回あるのです。
十五夜というのは旧暦、つまり月を基にした太陰暦からきた言葉です。
約15日周期で行われる月の満ち欠けを基本にして、新月の日を1日、だんだん月が満ちていき満月になった日が15日、そしてだんだん欠けて行って次の新月の日がよく月の1日という風に定めたものです。
ということは、十五夜というのは満月を迎えるその月の15日の夜のこと。
日にちとしての名称です。
ですので、月を示すときには「十五夜の月」というのが正しい表現なのです。
毎月15日の夜はくるわけですから、1年に最低12回(閏年は13回)は「十五夜」があるということになります。
いまでは十五夜というと「9月15日の満月」というのが一般的ですが、本来は違う意味だったのですね。
また、私たちがお月見をする十五夜の月のことを「中秋の名月」と言うのを聞いたことがあると思います。
この「中秋」というのは旧暦の8月のこと。
旧暦で7月を「初秋」、8月を「中秋」、9月を「晩秋」と呼んでいたことがその由来です。
旧暦の8月は新暦の9月にあたります。
9月は空気が澄んで、月も綺麗に見えるので、9月15日の月を十五夜の月、中秋の名月などと呼んでお月見を楽しむ習慣になったのです。
ただ、新暦では旧暦の8月15日に当たる日は毎年違ってくるので、9月15日が満月ではない場合があります。
つまり、十五夜のお月見の日が9月15日とは限らない、ということですね。
ネットなどを調べると「今年の十五夜は9月●日です」などと出ています。
特別な名前のついた十三夜、十六夜、十七夜、どういう月かわかりますか?
十五夜という言葉は一般的に良く聞きますが、十三夜、十六夜、十七夜というのを聞いたことがありますか?
その成り立ちは十五夜と同じく、旧暦の13日の夜、16日の夜、17日の夜のことで、月のことを指している言葉です。
読み方は「じゅうさんや」、「いざよい(じゅうろくや)」、「じゅうしちや」。
十三夜はちょっと置いておいて、十六夜と十七夜についてのお話をしましょう。
まず、十六夜。
そのまま十五夜の次の日の月のことです。
「いざよい」と読むのは「いざよう」という古語から。
この「いざよう」というのは「ためらう」という意味があって、十五夜よりも少し遅れて西の空に上ってくる月を「ためらいがちに顔を出す」と考え、「いざよい」と呼んだと言われます。
次に十七夜。
普通に「じゅうしちや」と読みますが、「たちまちづき」(立待月)という言われ方もします。
こちらも字の如し、十五夜の二日後の月のこと。
やはり、遅れて上ってくる月を今か今かと立って待っている様からの呼び名です。
ちなみにその次の日の月は「十八夜」ではなく、「座してゆっくり待つ」という意味で「居待月」と呼ばれています。
どれも、電気のない時代、日が沈んで真っ暗になったあとに、明るい光であたりを照らしてくれる月の出を待ちこがれた当時の人の心から生まれた言葉なのですね。
一方、十三夜というのはちょっと違います。
十五夜の二日前、と考えそうですが実はそうではありません。
十五夜は旧暦の8月15日の月ことですが、こちらはその約1ヶ月後の旧暦9月13日の月のこと。
別名「栗名月」とも呼ばれ、中秋の名月に次いで月が綺麗に見える日とされています。
十五夜のお月見の風習は中国の「中秋節」という観月の宴に由来すると言われているのに対して、この十三夜のお月見は日本固有のものと考えられています。
また、十五夜にだけお月見をすることを「片見月」(かたみつき)と呼んで縁起がよくないこととされていて、十五夜にお月見をしたら必ず十三夜にもお月見をしなくてはならないという風習になっていたのです。
「栗名月」の名の通り、ちょうど収穫期を迎えた栗をお供えしたということですよ。
お月見と言ったらススキと団子、こちらにも大きな意味がありました。
十五夜の月にお供えするのはススキとお団子が一般的です。
平安時代に中国から伝わり公家の間で催されていた観月の宴は、その後庶民の間にも広まり、お月見の会が催されるようになりました。
ただ、こちらは宴としてではなく秋の収穫と健康を月に祈り、感謝する行事として広まりました。
本来であれば、収穫の時期に行われてしかるべき行事なのですが、なにせ旧暦の8月15日(新暦だと9月15日前後)、まだ米の収穫時期には至っていなかったのです。
そのため、神様の依り代(よりしろ)である稲穂がまだ完全に実ってなかったので、厄除けの効果が有り、稲穂に姿形が似ているススキを代用として捧げたと言われています。
また、団子はその時期に収穫時期を迎える芋を使った団子を捧げ、こちらも秋の収穫を願ったと言います。
十五夜のことを別名「芋名月」と言うのはそのためです。
後に、米でできた団子がお供えされ、現代の形になったというわけです。
美しい満月に収穫や健康を願うという風流な日本的風習、大事にしていきたいものですね。
あ、十五夜にお月見をしたら、十三夜にもお月見をするのもお忘れなく。
コメント
コメントはありません。