夏の代表的な果物といえばスイカですね。
夏の風物詩と言ってもいいぐらいです。
子供の頃、紅白のナイロンのスイカ専用網に入れて持ち帰ったスイカを洗面器に入れ、流水を流して冷やしたりしていました。
最近では濃い緑一色のスイカも見られるようになりましたが、特徴的なのはあの緑と濃い緑の縞模様。
八百屋さんの店先であの一目でスイカとわかる縞模様を見かけると、「あーもう夏なんだなぁ」と感じます。
で、そんなスイカ、いつもなにも疑問に思わないで食べているのですが、ふと考えるとあの縞模様というのはなんのためにあるのでしょうか?
いかにも人為的改良? と思えるような綺麗な縞模様。
実は、調べてみると、いろいろな説があるのです。
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まずは原種に改良を重ねて縞模様をつけた、という説。
スイカの原種はアフリカの砂漠地帯に自生していた植物というのが有力です。
そもそも原種のスイカには縞模様はなく、緑一色で味は苦味が強く、現代のような甘くて美味しい果物ではなかったと言われています。
あ、ここでは果物という言葉を使っていますが、正しくはスイカは野菜の仲間です。
もっと正確に言うと、農林水産省が定めた呼び方は「果実的野菜」という曖昧な表現の野菜です。
一般的には、樹木になる実を「果実」、蔓や茎などの草本性植物を「野菜」という認識がされていますが、それによると蔓性植物になる実のスイカは「野菜」ということになります。
ただスイカは、実際には「果物」として扱われることも多いので、こういった曖昧な表現になったと思われます。
この理論によって、驚くことにイチゴも「果実的野菜」とされているのです。
果物の代表格のイチゴも野菜の仲間、というのはびっくりしますね。
話はそれましたが、アフリカではこの苦い原種のスイカに改良を加え甘さだけを残したスイカを作り上げたとされています。
その時点で、縞模様が生まれたのかもしれません。
なので、スイカの縞模様は改良の結果生まれた人為的なものだ、ということですが、はっきりとしたことはわかっていません。
最も一般的な、スイカが自ら進化して縞模様をつけた、という説。
もう一説として、人間が手を加えたのではなく、スイカ自らが縞模様を作ったという説があります。
スイカというのは、鳥や動物に種を食べてもらい、種を運ぶ「動物散布」という方法で子孫を増やす植物です。
なので、まず鳥や動物に種を食べてもらう必要がありました。
食べてもらうにはどうするか。
まずは鳥や動物に果実を見つけてもらわなくてはなりません。
そのために実が目立つように自ら綺麗な縞模様をつけたという説があります。
自らの種子散布のために、そもそもの原種にはなかった縞模様を目立つように身に纏い進化した、ということです。
こちらの説もはっきりとはしていませんが、いまではこの説が一般的にスイカの縞模様の起源として語られることが多いようです。
スイカの種は食べても盲腸にならない?
とりあえず、スイカがなぜ縞模様になったかははっきりしていませんが、はっきりしているのは、どういうわけか縞模様の濃い緑の部分に種が並んでいる、ということです。
なので、濃い緑の部分を切ると断面にズラリと種が並びます。
種を表に出さないように切るには、緑の部分を切ればいいということになりますね。
で、そんなスイカの種ですが、なかったらもっと食べやすいのになぁ、と思ったことはありませんか?
子供の頃、私はいつも「この種がなかったら一気に食べられるのに」と思っていました。
それも、母親に「種を食べると盲腸になるよ」と言われていましたから、なかなか飲み込むわけにもいかず、盲腸(正しくは虫垂炎ですが)の怖さから、一個も飲み込まないように注意深くスイカを食べていました。
そんな風に言われた方も多いと思います。
この「スイカの種を食べると盲腸になる」というのはヨーロッパ発祥と言われています。
ヨーロッパでは「ブドウの種を食べると盲腸になる」という言い伝えがあって、それが日本に伝わって「ブドウ」が「スイカ」に変わっていったようです。
それがいつの間にか、スイカの種は食べても大丈夫、というのが通説になってきました。
先ほども述べた通り、スイカの種子は「動物散布」です。
一度、鳥や動物に食べてもらって、糞として排泄してもらう必要があります。
なので、鳥や動物の体内で消化されてしまっては元も子もありません。
そのため、スイカの種子の表皮は消化されにくように硬い外皮に覆われているのです。
人間の場合も同じです。
種を飲み込んでも、そのまま排泄されるというわけです。
ただ、ブドウもスイカも種を飲み込んでも大丈夫とはなっていますが、種と虫垂炎の関係性ははっきりとはわかっていないそうです。
まぁ、食べても硬いし渋いし、あまり食べて美味しいものではありませんが。
西から来た瓜だから西瓜、そのままですね。
そんなスイカを漢字で書くと西瓜。
でも、日本に西から伝わったからではありません。
これは中国から伝わった漢字で、中国の西域「ウイグル」から来た瓜、というのがその成り立ちになっています。
読んで字の如しですね。
読み方は「シーグァ」。
それが「スイカ」という日本語の読みになったと言われています。
夏を感じさせてくれる身近なスイカですが、はっきりしないことだらけ。
でも、私は「一番好きな果物はなに?」と聞かれたら「スイカです!」と答えます。
キャラクターになるほど、縞模様も可愛いですしね。
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