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蚊柱は口を持たない蚊の仲間。口がないから食べない?刺されない?ユスリカの正体。

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春先から夏にかけて、河原などを歩いていると小さな虫の大群に遭遇することがあります。

たくさんの蚊のような虫が頭の周りをぐるぐると回るように飛び回り、逃げようとしてもいつまでもついてくる。

頭や顔の周りにまとわりついてくることから「頭虫」と呼ばれることもあるようですが、それが集まってできたのが「蚊柱」です。

払っても払っても、いつまでもついてくる蚊柱、あまり気持ちのいいものではありませんね。

「蚊」と言うぐらいですし、なんせ、あれだけの数ですから、刺されたら大変なことになってしまいます。

でもご安心を。

ほとんどの蚊柱の蚊は人を刺す蚊ではありません。

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蚊柱の「蚊」はなに? → ユスリカ

刺されることはあるの?

蚊柱を形成しているのはユスリカという蚊の仲間。

え? やっぱり蚊じゃない! 刺されるじゃない! と思う方もいらっしゃるでしょうが、ユスリカは刺す蚊の仲間ではありません。

日本ではアカイエカ、ヒトスジシマカ、チカイエカなどが代表的な蚊で、こちらはハエ目カ科の蚊。

当然人を刺す蚊です。

 

一方、ユスリカというのはハエ目ユスリカ科の蚊。

こちらは刺すことはありません。

金魚や熱帯魚などを飼育していらっしゃる方はわかると思いますが、よく餌に使うアカムシの成虫がユスリカです。

普通、蚊を手でつぶしたりすると手などに黒く鱗粉が付いてしまうことがありますが、ユスリカは鱗粉を持たないのでつぶしても鱗粉がつくことはありません。

なので、蚊柱に襲われてしまっても、刺されたり、服や髪の毛に鱗粉がついてしまったりすることはないのでご心配なく。

刺されないし、鱗粉がつくこともないとはいえ、とにかく頭の周りにチラチラとまとわりつかれて鬱陶しいのはまちがいありません。

近年、ユスリカの死骸などを吸い込むことによってアレエルギー生鼻炎やユスリカぜんそくと呼ばれるアレルギー疾患を起こす可能性があるなど、アレルゲンとなることがわかってきているので、口や鼻に入らないように注意するのが肝心です。

どうして蚊柱はたつのか?

いつまでも追いかけてくる謎。

実は蚊柱の中にいるのはほとんどがユスリカのオスです。

蚊柱というのは、多くのオスが1匹で行動しているメスをそこに呼び込んで交尾するためのメスへのアピールなのです。

なので、繁殖期である春から夏に多く見られるのです(夏の終わりにもみられることがあります)。

蚊柱が河原などの水辺に多いのは、ユスリカの産卵場所が水の中だからです。

水辺近くの蚊柱を見つけたメスがそこに飛び込み、交尾して近くの水に産卵する、というのが蚊柱の正体です。

そんな蚊柱ですが、一度遭遇すると逃げようとしてもなかなか頭のまわりから離れず、いつまでもついてきてしまうものです。

では、なぜ蚊柱は人間の頭にまとわりつき、いつまでもついてくるのでしょうか。

これは周りより高いところに集まるという蚊柱の習性からきています。

河原など、あまり高いものがない場所ではそこを歩いている人の周り、特に一番高い頭の周りに集まってくるというわけなのです。

それが、この蚊柱を形成するユスリカが「頭虫」と呼ばれる理由になっています。

いつまでもついてきてしまうのも、高いものに群がる習性から、移動する人の頭を追いかけてしまっているのですね。

ただ、別な説としては、蚊同様、人の吐き出す二酸化炭素に反応しているという説もあるようです。

鬱陶しい蚊柱だけど。

実は、はかない生き物なのです。

蚊柱を形成している「頭虫」ことユスリカは日本に1000種類ほどいるとされています。

で、このユスリカですが、先ほどもお伝えしたように刺すことはありません。

蚊の話をしますと、普段は花の蜜や樹液を吸っている蚊が人を刺す理由というのは、産卵のための栄養補給のためです。

なので、メスの蚊しか人を刺すことはありません。

その口から人の血を吸うときに人の体内に、刺されているよいう感覚を鈍くしたり、血が固まらないようにしたりする唾液のようなものを注入します。

それがアレルギーを起こさせ赤く腫れたり、かゆくなったりするのです。

 

では人の血を吸わないユスリカは蚊と同じように花の蜜や樹液を吸っているかというと、そうではありません。

実はユスリカの口や消化器官は退化してしまっていて、何かを食べるということがないのです。

幼虫であるアカムシは水中の有機物などを食べて成長しますが、成虫になった瞬間になにも食べなくなります。

当然ですね、口や消化器官がないのですから。

成虫になったユスリカは交尾し産卵するだけが目的なのです。

交尾して産卵したユスリカは死んでしまいます。

その期間はわずか1日から数日。

実にはかない命です。

はかない昆虫の代表としてカゲロウやセミが挙げられることが多いですが、ユスリカの人生もとてもはかないものです。

そう考えると、メスを呼ぶために一生懸命に蚊柱を作っているユスリカも健気に思えてきてしまいませんか。

まぁ、たしかに蚊柱は鬱陶しいですけどね。

 

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