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春「一番」、木枯らし「1号」、同じ風なのに呼び方が違う理由は?

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春「一番」、木枯らし「1号」、同じ風なのに呼び方が違う理由は?

暦の上では立春も過ぎて、そろそろ春が近づいてきています。

今頃になると話題になるのが春一番。

ご存知、春の訪れを告げる南からの暖かい風のことですね。

これとは逆に本格的な冬の到来を告げる冷たい風が木枯らし1号。

冷たい北風です。

と、おや? と思いませんか?

春は「一番」なのに木枯らしは「1号」。

同じ季節を告げる風なのに呼び方が違っています。

春1号とも木枯らし一番とも言いません。

日本の季節の訪れを表すこの二つの言葉、なぜ呼び方が違うのでしょう。

 

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まずは春一番と木枯らし1号の素性から。

両方ともちゃんとした定義があるのです。

 

春一番というのは、立春から春分の間に初めて吹く強い南よりの風のこと。

その期間に日本海側の低気圧に向かって南側の高気圧から吹き込む風、とされていて、その風速は8m/s以上と定義されています。

なので、その定義に合わない場合は春一番なしとされることもあり、春一番以降に定義を満たした風が吹いた場合は春二番、春三番という表現がされることもあるのです。

一方、木枯らし1号にも定義があります。

基本的には晩秋から初冬にかけて初めて吹く北寄りの強い風、ということになっています。

ただ、この木枯らし1号が発表されるのは東京地方と近畿地方のみで、その定義が少しだけ異なっているのです。

気圧配置が西高東低の冬型というのと、風速8m/s以上の北寄りの強風という定義はかわりませんが、東京地方では10月半ばから11月末までの間、近畿地方では霜降(10月23〜24日頃)から冬至(12月22日前後)までの間と定義されて、期間だけが少々違っています。

近畿地方だけは、神戸や奈良など、観測の場所が設定されていて、そのうち3箇所で観測されたというのも条件のひとつになっているようです。

ちなみにこちらも定義を満たさず発表されなかった年もあります。

なぜ東京地方と近畿地方で定義が少し違うのか明快な理由ははっきりしません。

また木枯らし2号、3号というのは、定義を満たした風は吹くものの、そういった呼び名で呼ばれることはありません。

 

一番と1号、歴史を紐解くと違った呼び名になった理由が。

諸説あるのですが、春一番という言葉が初めて使われたのは安政6年(1859年)2月とされています。

漁に出ていた長崎県の漁船が強い南風を受け転覆し50人以上の死者を出して以降、地元の漁師たちがこの強い風を「春一」とか「春一番」と呼ぶようになったとされています。

また、木枯らし1号は昭和43年(1968年)ごろから気象庁が発行する雑誌『気象』で使われ始め、それが気象庁内で使われるようになって一般化したようです。

春一番と木枯らし1号、その歴史がわかるとこのふたつの呼び方の違いがわかるはずです。

現代となっては両方とも気象庁が発表する気象用語になっていますが、春一番は漁師たち一般人が使いなれた表現から使い始めた言葉、木枯らし1号は気象庁が気象用語として使い始めた言葉だからというのがその理由なのです。

つまり木枯らし1号の「号」は台風の「号」と同じということです。

たしかに「春一番」という表現は風流な感じがするけれど、「木枯らし1号」というのは、どこかお役所言葉っぽいですね。

 

もうひとつ、おや?と思うことありませんか?

なんで木枯らし1号は東京地方と近畿地方だけ?

一番と1号の違いはわかりました。

でも、おや? と思うことがもうひとつ。

木枯らし1号が東京地方と近畿地方だけで発表されるということ。

不思議だと思いませんか?

違う地方でも発表されたのを耳にしたことがある方も多いと思いますが、実は気象庁が正式に木枯らし1号を発表しているのは東京地方と近畿地方だけ。

これは、東京地方と近畿地方に人口が集中していて、ニュースとして成立するから、というのがその理由らしいです。

なにかしらの季節感を表現したいというマスコミからの要請もあった、という話も囁かれています。

ちなみに、冬将軍という言葉も気象庁から誕生した言葉ではありません。

厳しい寒さをもたらすシベリア寒気団を表した表現ですが、語源となったのはロシアに攻め入ろうとしたナポレオンが、冬のロシアの寒さに負けて撤退せざるをえなくなったことに由来しています。

当時のイギリスの新聞がその撤退を伝える記事で「general frost」 (霜の将軍)という言葉を使い、それが日本で「冬将軍」と訳され、一般的に使い始められたそうです。

まぁ、こちらも趣深い言葉ですね。

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