お正月が終わるとテレビから流れてくるお雛様のCM。毎年恒例の季節行事のようになっていますね。
今年はなにやらいつもより少ない気もしますが・・・。
で、3月の節句といえば「桃の節句」。1年に一度、女の子の健やかな成長を願ってお雛様を飾る初春の行事です。
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目次
まずはその歴史から。
3月巳の日のは上巳の節句。
ちょっと堅苦しいお話になりますが、その起源は上巳の節句と言い、3月最初の「巳の日」に設定されていたものが、のちに3日に固定されたようです。
覚えておいて損はありません。
どこかで自慢してみるのも良いでしょう。
家でも2月の半ばになると、お雛様を大きな箱から出して、リビングに飾ります。娘たちがいくつになっても、その年中行事はかわりません。
そんなふうに雛人形が飾られるようになったのは江戸時代。中国で上巳の節句の日に水を浴びて身を清めるという習慣から、それが流し雛につながり、雛人形を飾るという習慣が一般的になりました。
さて、この雛祭り、ちょっと考えてみると「なんで?」と思うような不思議なことが盛りだくさん。
そんな「なんで?」をちょっと考えてみましょう。
「桃」の節句に「桜」餅?
お雛様といったら桜餅ですね。
あれ? って思いませんか?
桃の節句なのに、一般的に食べられるのは桜餅。お雛様にも桜餅をお供えするものですね。では、なぜ桃餅ではなく桜餅なのでしょう?
実は桃の節句の「桃」と桜餅の「桜」は全く別の意味合いから誕生したものなのです。
「桃」は神話の時代に神様が桃の実で悪霊を退治したという言い伝えがあり、魔除けの実とされてきました。
それと神聖な上巳の節句が結びつき、桃の季節であるそれが桃の節句となったわけです。ふむふむ。
一方、「桜」ですが、こちらは天皇の御座の左側にあった左近の桜からおめでたく高貴なものとされ、ちょうど桜の季節ということもあって、桜の葉を使って考案された「長命寺餅」を春の節句のお菓子としたのです。
ですので、桃の節句に桜餅という、ちょっとした矛盾を感じてしまう組み合わせになってしまったようです。
左近の桜が右側に?
橘と桜の位置、迷いませんか?
お嬢様がいらっしゃるご家庭では、毎年雛人形を飾るとおもいます。
1年に一度、箱からお出しなくては、お雛様が寂しがってしまいます。
で、雛人形を箱から出して飾るわけですが、あなたはお雛様の配置、全部覚えてますか?
私はいまだに配置がわからず、人形についてきた配置写真を見ながらやっています。
三人官女はこれでよかっっけ? 五人囃子の順番は? などと。
それといつも悩んでしまうのが橘と桜がどちらだったかな? ということです。
雛飾りには必ず「橘」と「桜」がついています。
そのふたつの左近の桜、右近の橘という名前は知っているものの、雛飾りマニュアルを紐解くと、桜は右側、橘は左側に、というのに気づくのです。
はて、いつもここで左近が右で、右近が左? というパラドックスが生じます。
ね、不思議でしょ?
これは、そもそも雛飾りというのが天皇のお住まいである神殿、京都御所をモチーフに作られたものであり、すべてが天皇の御座を中心に考えられているというところからきているのです。
つまり、雛飾りの主眼が天皇=お内裏様の視点ということになります。
天皇の御座の右側に植えられていたのが桜、左側に植えられていたのが橘、というわけです。
なので、お内裏様から見て右側に左近の桜、左側に右近の橘、となったのです。
なぜ橘と桜かというと、先ほどの天皇の御座に関係していることで、御座のそばには橘の木と桜の木が植えられていたそうで、そちらが起源になっているのです。
橘は不老長寿を、桜は魔除けの意味を持つとされ重用されてきました。
なので、宮中に植えられたその二つの樹木が縁起物とされて女の子の健やかな成長を願う雛祭りに飾られるというのは、しごく当然と言えましょう。
ちなみに、この左近、右近というのは宮中警備の左近衛が桜のそばで、右近衛が橘のそばで警護に就いていたという説もあります。
ひし餅はなぜ菱形?
ひな祭りにはひし餅、ひなあられ、白酒。
雛飾りのお供えものとして桜餅のほかに必ずお供えされるのがひし餅です。
ピンク、白、緑という三色で彩られた特徴的なお餅です。
では、なぜこの三色かというと、ピンクには「桃、魔除け」、白には「雪、清廉」、緑には「若葉、不老長寿」といった意味が含まれているのです。
その三色を合わせることで、「雪の中から若芽が出、桃の花を咲かす」といったおめでたい意味が込められています。
そんな三色のひし餅を砕いたものが「ひなあられ」。なので、ひなあられもピンク、白、緑の三色なのです。
色だけではなく、ひし餅はその形も特徴的です。
普通は丸だったり、四角だったりする餅ですが、これは菱型、少々珍しい形です。
では、なぜ丸や四角ではなく菱型なのか?
これには諸説あるのですが、先ほどの「雪の中から若芽が出、桃の花を咲かす」から、その三つを合わせて地を表現しているという考えがあります。
ほかには、ひし形が心臓を表す=健康長寿への願い、仙人の食べ物であった菱のみの形から=不老長寿、菱の実が種子を多くつける=子孫繁栄、などなど、様々な説が唱えられていますが、そのすべてがおめでたい事柄につながるものです。
ちなみに、雛祭りにははずせない白酒ですが、こちらもその起源は諸説ありますが、すべて女性が健やかに、という逸話ばかりです。
そしてこの白酒、アルコール分を含んだれっきとしたお酒で、女の「子」のお祝いの日には少々そぐわない気もしますね。
発祥や謎なところはあるけれど、やっぱりおめでたい。
日本伝統の優しさは守っていきたい。
桃の節句に雛人形を飾ったり、桜餅を食べたり、白酒を飲んだり・・・昔からの習慣となっている事柄はたくさんありますが、その起源は諸説存在しています。
ただ、それのどれもが女の子の健やかな成長と幸せを願ったものばかりです。
桃の節句というのは、日本人の優しさに満ち溢れた素敵でおめでたい行事なのです。
これからも、ずっと守り続けていきたい習慣ですね。
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